【ニュース解説】「税金未納」の恐怖を利用する詐欺が増加 求められるのは"見抜く力"ではなく"騙されても守る仕組み"

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「税金未納」の恐怖を利用する詐欺が増加 求められるのは"見抜く力"ではなく"騙されても守る仕組み"

https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260527_1.html

引用元:国民生活センター

国民生活センターは2026年5月、国税庁やe-Taxをかたる不審なSMSやメールに関する相談が相次いでいるとして注意喚起を行った。相談事例には、「税金の未納分を支払わなければ資産を差し押さえる」といった内容のメールを受け取り、記載されたURLからコード決済で送金してしまったケースも含まれている。

国税庁はSMSやメールで「差し押さえ」を通知することはなく、納税を求める連絡も原則として行わない。しかし、それでも被害は発生している。

この背景には、フィッシング詐欺の変化がある。

従来のフィッシングは、大手銀行やECサイトを装い、ログイン情報やクレジットカード情報を盗み出すものが中心だった。しかし近年は、公的機関を装うケースが急増している。

その理由の一つは、「税金」「年金」「保険」といったテーマが強い心理的圧力を持つからだ。

金融機関からの連絡であれば、「本当だろうか」と疑う人でも、「未納」「差し押さえ」「行政手続き」といった言葉が並ぶと冷静な判断が難しくなる。特にSMSはメールよりも即時性が高く、利用者が深く考えずにリンクを開いてしまう傾向がある。

さらに最近の攻撃では、単に偽サイトへ誘導するだけではなく、コード決済や電子マネーを利用した送金へ直接誘導する手口も増えている。

従来のクレジットカード不正利用では、カード会社による補償や不正検知が働く余地があった。しかし利用者自身が送金操作を行った場合、被害回復は難しくなる。

ここで重要なのは、「利用者教育だけでは限界がある」という現実である。

もちろん、不審なSMSやメールを開かないことは重要だ。しかし攻撃者は日々手口を改善し続けている。正規サービスのデザインを模倣し、日本語も自然になり、生成AIの普及によって文章品質も向上している。

もはや「怪しい日本語だから見抜ける」という時代ではない。

そのため今後は、「騙されないこと」を前提にするのではなく、「騙されても被害を最小化する仕組み」が重要になる。

事業者側には、不自然な送金行動や端末変更直後の高額取引などを検知する仕組みが求められる。また利用者側も、SMSやメールに記載されたリンクからアクセスするのではなく、公式アプリや公式サイトから直接確認する習慣を持つ必要がある。

今回の事例は、単なるフィッシング被害ではない。

公的機関への信頼そのものを悪用する社会的な攻撃であり、今後も同様の手口は拡大すると考えられる。

だからこそ必要なのは、「見抜ける利用者」を増やすことだけではなく、「騙された後でも被害を防げる仕組み」を社会全体で整備していくことではないだろうか。

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